結婚って、不思議なものですよね。あれほど幸せいっぱいだった結婚式から数年、時には数ヶ月で「あれ、こんなはずじゃなかった」って思う瞬間が訪れてしまうんです。今日は、そんな結婚生活の現実について、じっくりお話ししたいと思います。
誰もが最初は「この人と一生を共にできる」と信じて結婚するはずなのに、なぜこんなにも多くの人が「失敗だったかも」と感じてしまうのでしょうか。その理由を深く掘り下げていきましょう。
まず、大きな要因の一つは「価値観の違い」です。恋愛中は「違いも魅力」だったものが、結婚すると「許せない溝」に変わってしまうことがあります。
たとえば、お金の使い方。付き合っている頃は「太っ腹で素敵」と思っていた彼のお金の使い方が、結婚後は「これじゃ将来が不安すぎる」という不満に変わってしまった、なんて話はよく聞きますよね。私の友人のA子さんもそうでした。
「彼は本当に優しくて、デートの時はいつも高級レストランに連れて行ってくれたの。でも結婚してから分かったんだけど、彼には貯金が全然なくて。収入はそれなりにあるのに、入ってきたものは全部使っちゃうタイプだったのよ」
A子さんは続けます。「私が『将来のために貯金しよう』って提案しても、『今を楽しまなきゃ意味がない』って。確かにその考えも分からなくはないけど、子供ができたらどうするの?って不安で不安で」
こういうお金の価値観の違いって、結婚前はなかなか見えてこないんですよね。デートの時は財布の中身なんて見えないし、お互いに良いところを見せようとするから、本当の金銭感覚って分からないものです。
そして次に大きな問題になるのが、生活習慣の違いです。これもまた、恋愛中はあまり気にならなかったことが、一緒に暮らし始めると大問題になってしまうんです。
B子さんのケースをご紹介しましょう。「彼の部屋に初めて行った時、『あ、ちょっと散らかってるな』くらいにしか思わなかったの。男の一人暮らしだし、まあこんなものかなって。でも結婚して一緒に住み始めたら、それが毎日続くわけよ。脱いだ服は脱ぎっぱなし、食べた後の食器は置きっぱなし。私が片付けても片付けても、すぐに散らかされる。最初は『私がきちんとすればいい』って思ってたけど、だんだん『なんで私ばっかり』って思うようになって」
そうなんです。恋愛中は週に何回か会うだけだから、相手の生活習慣なんてそこまで気にならない。でも結婚して毎日一緒にいると、小さな違いが積もり積もって大きなストレスになってしまうんです。
そして、この生活習慣の違いで特に問題になるのが、家事の分担です。共働きが当たり前になった現代でも、なぜか家事は女性の仕事という意識が残っている家庭は少なくありません。
C子さんの悩みを聞いてください。「うちは共働きで、私も彼と同じくらい残業もあるのよ。でも家に帰ってきたら、彼はソファに座ってテレビ見てる。私は急いで夕飯の支度して、洗濯物を取り込んで、お風呂の準備をして。彼に『手伝って』って言うと、『疲れてるから無理』って。じゃあ私は疲れてないとでも思ってるの?って腹が立つけど、言い争いになるのも嫌だから我慢してる」
この「我慢」が積もりに積もって、ある日突然爆発してしまうんです。そして「なんでこんな人と結婚したんだろう」という思いにつながってしまう。
特に、子供が生まれると、この問題はさらに深刻になります。育児は24時間365日休みなしの仕事なのに、それを「母親の仕事」と決めつけてしまう夫。夜泣きで寝不足の妻の横で、ぐっすり眠る夫。そんな姿を見て、愛情が冷めてしまう女性は本当に多いんです。
D子さんはこう語ります。「出産してから3ヶ月、私はまともに寝たことがなかったの。赤ちゃんは2時間おきに泣くし、授乳もオムツ替えも全部私。夫は『俺は仕事があるから』って言って、別室で寝てた。ある夜、赤ちゃんを抱っこしながら、ふと思ったの。『私、なんでこの人のために子供産んだんだろう』って。その瞬間、結婚したことを心底後悔した」
でも、問題は家事や育児の分担だけじゃありません。もっと根本的な問題として、コミュニケーション不足があります。
結婚前は毎日のようにLINEして、週末は必ずデートして、お互いのことを何でも話していたのに、結婚したらどうでしょう。朝はバタバタと出勤準備、夜は疲れて帰ってきて、週末は家事や用事で追われる。いつの間にか、夫婦の会話は「今日の晩ご飯何?」「明日ゴミ出しよろしく」みたいな事務連絡ばかりになってしまう。
E子さんの体験談です。「結婚して5年、気づいたら夫との会話が激減してた。一緒にいても、お互いスマホをいじってるだけ。たまに話しかけても『うん』『そう』みたいな返事だけ。何か相談しても、真剣に聞いてくれてる感じがしない。むしろ『面倒くさそう』な顔をされる。だから私も話さなくなった。でも、話さなくなったら、もう他人みたいになっちゃって」
このコミュニケーション不足は、夫婦関係の中でも特に深刻な問題です。話さなくなると、お互いの気持ちが分からなくなる。分からなくなると、誤解が生まれる。誤解が積もると、修復不可能な溝ができてしまう。
そして、多くの夫婦が直面する問題が、セックスレスです。これは本当にデリケートな問題ですが、避けて通れない現実でもあります。
F子さんはこう打ち明けてくれました。「結婚して2年目くらいから、夫が誘ってこなくなった。最初は『仕事で疲れてるのかな』って思ってたけど、それがずっと続いて。私から誘うのも恥ずかしいし、拒否されたらどうしようって思うと怖くて。でも、スキンシップがないと、本当に同居人みたいになっちゃうのよね。手をつなぐこともないし、キスもない。これって夫婦なの?って思う」
実際、セックスレスに悩む夫婦は本当に多いんです。でも、これって単に性的な問題じゃないんですよね。スキンシップがなくなると、精神的な距離も開いてしまう。お互いに「愛されてる」って実感が持てなくなってしまうんです。
そして、決定的な瞬間として挙げられるのが、相手への尊敬の念を失った時です。
G子さんの体験談を聞いてみましょう。「夫は外では立派な会社員なんだけど、家では本当にだらしなくて。休日は昼過ぎまで寝てて、起きてもパジャマのままゴロゴロ。ご飯食べながらゲップするし、お風呂も2日に1回しか入らない。そんな姿を見てたら、どんどん嫌になってきて。『この人、私にとって何なの?』って思うようになった」
尊敬できない相手と一緒にいるのは、本当に辛いものです。恋愛中は「好き」という感情でカバーできても、結婚生活は長いんです。その長い時間を、尊敬できない相手と過ごすのは苦痛でしかありません。
また、浮気や裏切りという決定的な出来事もあります。
H子さんのケースは衝撃的でした。「夫のスマホに、知らない女性からのLINEが。内容を見たら、明らかに浮気。しかも相手は私の友達だった。二重の裏切りよ。その瞬間、今までの結婚生活が全部嘘だったように感じた。幸せだと思ってた時間も、全部演技だったのかって」
信頼は一度失われると、なかなか取り戻せません。特に結婚生活において、信頼は何よりも大切な要素です。それが失われた時、結婚生活そのものが崩壊してしまうのも当然かもしれません。
さらに、家族や親戚との関係も大きな問題になります。結婚は二人だけの問題じゃないんです。お互いの家族も含めた大きな関係性の中で成り立っている。
I子さんの悩みはまさにそれでした。「夫のお母さんが、とにかく干渉してくるの。料理の作り方から掃除の仕方、子育ての方法まで、全部に口を出してくる。しかも夫は『母さんの言う通りにすればいい』って。私の意見は全く聞いてくれない。まるで夫と結婚したんじゃなくて、夫の母親と結婚したみたい」
嫁姑問題は昔からありますが、現代でも形を変えて存在しています。そして、その時に夫がどういう立場を取るかで、妻の気持ちは大きく変わってしまうんです。
実は、これらの問題の多くは、恋愛と結婚の違いから生まれています。恋愛は「感情」で成り立っていますが、結婚は「生活」で成り立っているんです。
恋愛中は、お互いの良いところばかりを見ようとします。デートの時は身なりを整えて、優しい言葉をかけて、相手のことを第一に考える。でも結婚したら?毎日一緒にいるんです。素の自分を隠し続けることなんてできません。
J子さんはこう分析します。「恋愛って、ある意味『非日常』なのよね。特別な時間を共有する。でも結婚は『日常』。毎日の生活の中で、相手の嫌な部分も全部見えてくる。それを受け入れられるかどうかが、結婚生活がうまくいくかどうかの分かれ目なんだと思う」
その通りなんです。結婚は、相手の全てを受け入れることです。良いところも悪いところも、全部含めて「この人と一緒にいたい」と思えるかどうか。
でも、現実はそう簡単じゃありません。特に現代社会では、様々なストレスが夫婦関係に影響を与えています。
仕事のストレス、経済的な不安、子育ての大変さ、介護の問題。これらが複雑に絡み合って、夫婦関係を圧迫してしまうんです。
K子さんの場合もそうでした。「夫が突然リストラされて、収入が激減した。私も働いてるけど、二人の収入でギリギリだったから、夫の収入がなくなると本当に苦しくて。でも夫は落ち込んでるし、責めるわけにもいかない。そのストレスが溜まって、些細なことでケンカするようになった。お金の問題って、本当に夫婦関係を壊すわよね」
確かに、経済的な問題は夫婦関係に大きな影響を与えます。お金がないと、心の余裕もなくなってしまう。優しくなれなくなってしまうんです。
また、現代特有の問題として、SNSの影響もあります。
L子さんはこんなことを言っていました。「InstagramやFacebookで、他の夫婦の幸せそうな写真を見ると、つい比べちゃうの。『あの夫婦は海外旅行してる』『あの旦那さんは奥さんの誕生日に素敵なプレゼントしてる』って。それに比べて、うちは...って思うと、悲しくなる」
SNSは他人の「良い部分」だけを切り取って見せるものです。でも、それが分かっていても、つい比較してしまう。そして、自分の結婚生活が劣っているように感じてしまうんです。
でも、ここで大切なことを言わせてください。結婚生活に「完璧」なんてないんです。どんな夫婦にも問題はあります。大切なのは、その問題とどう向き合うかです。
実際、結婚生活がうまくいっている夫婦を見ていると、ある共通点があります。それは、「コミュニケーションを大切にしている」ということです。
M子さんとその夫は、結婚15年目ですが、今でも仲良しです。その秘訣を聞いてみました。
「私たちは、毎日必ず30分は二人で話す時間を作ってるの。子供が寝た後とか、朝食の時とか。その時は、スマホも置いて、テレビも消して、お互いの話をちゃんと聞く。些細なことでも、嬉しかったこと、嫌だったこと、全部話す。そうすると、お互いの気持ちが分かるし、問題が大きくなる前に解決できる」
なるほど、と思いませんか?問題は、コミュニケーション不足から生まれることが多いんです。だから、コミュニケーションを取ることで、多くの問題は防げるし、解決できる。
また、N子さん夫婦は、こんな工夫をしています。
「月に一度は、必ずデートするの。子供は実家に預けて、二人だけの時間を作る。レストランに行ったり、映画を見たり。結婚前みたいにね。そうすると、『恋人同士』の気持ちを思い出せる。日常に埋もれて忘れがちだけど、私たちは愛し合って結婚したんだって」
これも素敵なアイデアですよね。結婚しても、恋人同士の気持ちを忘れない。そのための努力をする。それが、結婚生活を長続きさせる秘訣なのかもしれません。
そして、もう一つ大切なのは、「相手を変えようとしない」ことです。
O子さんの経験談です。「最初は、夫の嫌なところを全部直そうとしてた。でも、人って簡単に変わらないのよね。むしろ、私が変えようとすればするほど、夫は反発する。それでケンカばかりしてた。でも、ある時気づいたの。夫を変えるんじゃなくて、私の見方を変えればいいんだって」
確かに、人を変えるのは難しいです。でも、自分の見方は変えられる。相手の短所も、見方を変えれば長所になることもあるんです。
例えば、「優柔不断な夫」は「慎重で思慮深い夫」とも言えます。「うるさい妻」は「活発で明るい妻」とも言えます。同じことでも、どう捉えるかで全然違って見えるんです。
さらに、P子さんはこんなことを教えてくれました。
「結婚生活がうまくいかない時、つい相手のせいにしちゃうけど、実は自分にも問題があることが多いの。私も、夫に文句ばっかり言ってた時期があった。でも、ある時友達に『あなたも結構キツイこと言ってるよ』って指摘されて。それから、自分の言動も振り返るようになった」
これは本当に大切なポイントです。結婚生活の問題は、どちらか一方だけが悪いということは少ないんです。お互いに問題があることが多い。だから、相手を責める前に、自分を振り返ることも必要なんです。
でも、そうは言っても、どうしても解決できない問題もあります。価値観の違いが大きすぎる、相手が全く歩み寄ってくれない、暴力や浮気などの決定的な問題がある。そんな時は、離婚という選択肢も考えなければなりません。
Q子さんは、10年の結婚生活にピリオドを打ちました。
「最後の3年間は、本当に地獄だった。夫とは会話もなく、同じ家に住んでるだけの他人。子供のためにと我慢してたけど、子供にも悪影響だと気づいて。離婚を決意した時は辛かったけど、今は新しい人生を歩んでる。あのまま我慢し続けなくて良かった」
離婚は決して「失敗」ではありません。時には、お互いのために別れることが最善の選択になることもあるんです。
そして、離婚を経験した人の多くが言うのは、「もっと早く決断すれば良かった」ということです。我慢し続けて、心身を病んでしまう人も少なくありません。
R子さんもその一人でした。「15年間、夫の暴言に耐え続けた。『お前はダメな人間だ』『俺がいなければ生きていけない』って言われ続けて、本当にそうなんだと思い込んでた。でも、カウンセリングを受けて、それがDVだと気づいた。離婚して3年、今は自分の人生を取り戻せた気がする」
もし、あなたが今、結婚生活に悩んでいるなら、一人で抱え込まないでください。友人に相談したり、カウンセラーに話を聞いてもらったり、助けを求めることは恥ずかしいことではありません。
実際、夫婦カウンセリングを受けて、関係が改善したケースも多いんです。
S子さん夫婦もその一例です。「もう離婚しかないと思ってたけど、最後にカウンセリングを受けてみようと。そこで、お互いの本音を初めて聞けた。夫も私と同じように悩んでたんだって分かって。それから少しずつ、関係が良くなっていった」
プロの第三者が入ることで、客観的に問題を見つめ直せる。そして、解決策を一緒に考えてもらえる。これは本当に心強いことです。
また、最近では、オンラインでのカウンセリングも増えています。忙しくて時間が取れない人でも、気軽に相談できるようになりました。
結婚生活に「正解」はありません。100組の夫婦がいれば、100通りの結婚生活があります。大切なのは、自分たちにとっての「幸せな形」を見つけることです。
そのためには、相手とのコミュニケーションが欠かせません。お互いの気持ちを素直に話し、相手の話もちゃんと聞く。時には衝突することもあるでしょう。でも、それを乗り越えて、より強い絆を作っていく。それが結婚生活なのかもしれません。
T子さんは、結婚25年目を迎えてこう言います。「結婚生活は山あり谷あり。何度も『もうダメかも』と思ったこともある。でも、その都度、夫と話し合って、一緒に乗り越えてきた。今思えば、そういう困難があったからこそ、私たちの絆は強くなったんだと思う」
結婚は、ゴールではなくスタートです。二人で新しい人生を築いていく始まりなんです。その道のりは決して平坦ではありません。でも、だからこそ、一緒に歩む価値があるのかもしれません。
もし今、あなたが「結婚に失敗した」と感じているなら、まずは一度立ち止まって考えてみてください。本当に失敗なのか?それとも、まだ修復の余地があるのか?
そして、どんな選択をするにしても、自分の幸せを第一に考えてください。我慢し続けることが美徳ではありません。自分が幸せでなければ、相手も子供も幸せにはできないんです。
最後に、これから結婚を考えている人たちへ。結婚は素晴らしいものです。でも同時に、大変なものでもあります。相手の全てを受け入れる覚悟、困難を一緒に乗り越える決意、そして何より、お互いを尊重し合う気持ち。これらがあれば、どんな困難も乗り越えられるはずです。
結婚生活に「完璧」を求めないでください。「完璧な結婚生活」なんて存在しません。でも、「幸せな結婚生活」は、努力次第で作れます。
お互いを思いやり、支え合い、時には妥協し、時には主張する。そんな日々の積み重ねが、幸せな結婚生活を作っていくんです。
今、結婚生活に悩んでいる人も、これから結婚する人も、みんなが幸せになれますように。そう願ってやみません。