モテる口説き

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大人の愛着障害における試し行為にはどう向き合えばいいのか

大人になってからの恋愛。それは時に、思いがけない形で私たちの過去と向き合わせることがあります。あなたは、こんな経験をしたことがないでしょうか。パートナーからの連絡が急に途絶えたと思ったら、実は「自分がどれくらい心配するか見たかった」と言われたこと。あるいは、何か重要な約束をわざと曖昧にされて、こちらがどう反応するか試されているような感覚を覚えたこと。

こうした行動は「試し行為」と呼ばれるもので、実は大人の恋愛において決して珍しいものではありません。むしろ、多くの人が意識的にも無意識的にも、こうした行動を取ってしまうことがあるんですよね。そして興味深いことに、この試し行為は、関係を深めるきっかけにもなれば、逆に関係を壊してしまう危険性も秘めているんです。

今日は、そんな大人の恋愛における試し行為について、じっくりと考えていきましょう。なぜ人は相手を試してしまうのか。それは関係にどんな影響を与えるのか。そして、もし相手が試し行為をしていると感じたとき、あるいは自分自身がそうした行動を取ってしまっているとき、どう向き合えばいいのか。具体的な体験談とともに、一緒に探っていきたいと思います。

まず、試し行為とは何なのか、もう少し詳しく見ていきましょう。簡単に言えば、それは相手の愛情や関係の安全性を確かめるために、意図的にまたは無意識に行う行動のことです。子どもが親の愛情を確かめるために「わざといたずらをする」「困らせる行動をとる」といった行為に出ることがありますよね。大人の試し行為も、構造としては非常に似ているんです。ただし、その表現方法や背景にある動機は、ずっと複雑になっています。

具体的にどんな行動があるか、考えてみてください。たとえば、メッセージが来ているのに、あえて返信を遅らせる。普段は優しいのに、急に冷たい態度をとってみせる。相手が嫉妬するような話題をわざと持ち出す。約束をしておきながら、期待を裏切るような言動をする。こういった行動の裏には、「それでも相手は自分を大切にしてくれるだろうか」「本当に自分のことを気にかけているだろうか」という、不安と確認の欲求が隠れているんです。

では、なぜ大人になってもこうした行動を取ってしまうのでしょうか。その答えは、多くの場合、幼少期の経験にまで遡ります。私たちの愛着スタイル、つまり他者との関わり方のパターンは、幼い頃の養育環境によって大きく形作られると言われています。

たとえば、親が感情的に不安定だったり、必要なときに側にいてくれなかったりした経験。あるいは、信頼していた人から裏切られた記憶。こうした経験は、子どもの心に「人は本当に自分を愛してくれるのだろうか」「いつか見捨てられるのではないか」という根深い不安を植え付けることがあります。

心理学では、この愛着のパターンをいくつかのタイプに分類しています。その中でも「不安型」と呼ばれるタイプの人は、特に試し行為をしやすい傾向があるんですよね。不安型の人は、常に相手の愛情を疑っているわけではないのですが、ちょっとしたことで「嫌われたのではないか」「もう必要とされていないのではないか」という不安に襲われやすいんです。

想像してみてください。連絡が少し遅れただけで「何かあったのかな」「他の誰かといるのかな」「私のこと、もう好きじゃないのかな」と、次々に不安が膨らんでいく感覚。その不安があまりに強くなると、確かめずにはいられなくなるんですよね。それで、わざと相手を試すような行動に出てしまう。「私が連絡しなかったら、相手はどうするだろう」「冷たくしたら、追いかけてくれるだろうか」と。

もう一つ、見逃せない要因があります。それは現在の状態です。幼少期の経験が基盤にあったとしても、普段は安定している人でも、強いストレスを感じていたり、自己価値感が低下していたりすると、試し行為に走ってしまうことがあるんです。

仕事で大きな失敗をした。友人関係で傷つくことがあった。体調が悪くて気分が沈んでいる。こういった状況では、誰でも「自分は価値のない人間ではないか」という感覚に陥りやすくなります。そして、その不安を打ち消すために、パートナーからの愛情を確認したくなる。ところが、素直に「不安だから支えてほしい」と言えずに、回りくどい方法で相手の反応を引き出そうとしてしまうわけです。

ここで、実際にあった体験談をいくつか紹介しましょう。これらの話を通して、試し行為がどのような影響を関係に与えるのか、見えてくるものがあるはずです。

まず、交際初期のカップルの話です。付き合い始めて数ヶ月のある女性は、常に相手が自分をどれだけ気にかけているか不安でたまりませんでした。彼は優しいし、連絡もマメにくれる。でも、本当に自分のことを大切に思っているのだろうかという疑念が消えなかったんです。

そこで彼女は、あるとき試してみることにしました。いつもならすぐに返していたメッセージを、あえて既読スルーしたんです。彼がどれだけ心配して、どれだけ追いかけてくるか見てみたかった。結果はどうだったか。彼は確かに何通もメッセージを送ってきて、「大丈夫?」「何かあった?」と心配してくれました。彼女は一時的に、ものすごく安心したそうです。「ああ、この人は本当に私のことを気にかけてくれているんだ」と。

でも、その後どうなったでしょうか。彼女はその「安心」が欲しくて、同じような行動を繰り返すようになってしまいました。すると今度は、彼の方が疲弊し始めたんです。「なんで急に連絡がなくなるんだろう」「何か悪いことしたかな」と、彼の方が不安になり、過度に追いかける行動をとるようになりました。

関係はどんどんアンバランスになっていきました。彼女が試す、彼が追いかける、彼女が一時的に安心する、でもまたすぐに不安になる。そんな悪循環の中で、お互いが疲れてしまったんですね。彼女自身も、ふと我に返ったとき、「私、何をやっているんだろう」と気づいたそうです。短期的な安心は得られても、本当の信頼関係は築けていない。むしろ、関係を壊していることに。

もう一つの体験談です。ある男性は、過去に大切な人から裏切られた経験がありました。だから、新しく付き合った相手に対しても、どこか疑いの目を向けてしまう。「本当にこの人は信頼できるのだろうか」「いざというとき、自分を優先してくれるだろうか」そんな不安が常に頭の片隅にあったんです。

そんな彼が試したのは、重要な予定を直前でキャンセルするという方法でした。二人で楽しみにしていた旅行の前日に、「ごめん、急な仕事が入った」と連絡したんです。もちろん、本当は仕事なんてありませんでした。彼女がどう反応するか、自分よりも他の予定を優先したりしないか、確かめたかったんですね。

彼女の反応は冷静でした。「そっか、仕事なら仕方ないね。また別の機会にしよう」と、優しく言ってくれた。彼は一瞬、ものすごく安心しました。「この人は怒らない。理解してくれる。信頼できる」と。でも、その後、彼女の態度が少しずつ変わっていったんです。

以前ほど積極的に予定を立てようとしなくなった。会話も、どこか表面的になった気がする。彼が気づいたときには、彼女は心の中で距離を置き始めていました。後で話を聞くと、彼女はこう言ったそうです。「あのとき、すごく楽しみにしてた。でも急にキャンセルされて、本当はすごく傷ついた。我慢したけど、もしかしたら私のこと、そこまで大切じゃないのかなって思った」と。

彼が試そうとしたことで、逆に彼女の安心感を奪ってしまったわけです。彼自身は安心を得たかもしれないけれど、その代償として、相手の信頼を失いかけていた。これが試し行為の怖いところなんですよね。一方的な確認作業が、相手を傷つけてしまう。

三つ目の体験談は、もう少し微妙なケースです。ある女性は、自分が価値のある人間なのか常に不安でした。だから、パートナーから褒められたり認められたりすることで、その不安を解消しようとしていたんです。でも、素直に「私のこと、どう思う?」と聞くのは恥ずかしい。そこで彼女が取った方法は、ネガティブな自己開示を繰り返すことでした。

「私って、本当にダメな人間だと思う」「こんな自分、誰も好きになってくれないよね」といった言葉を、会うたびに口にする。すると相手は当然、「そんなことないよ」「君は素敵だよ」と否定して励ましてくれます。その言葉を聞くと、彼女は安心できたんです。

最初のうちは、相手も真剣に向き合ってくれました。でも、同じようなやり取りが何度も繰り返されるうちに、相手は混乱し始めました。「彼女は本当に自信がないのか、それとも褒めてほしいだけなのか」「本音はどこにあるんだろう」と。そして徐々に、彼女の言葉を額面通りに受け取れなくなっていったんです。

結果として、本当に落ち込んでいるときでさえ、「また始まった」と思われてしまうようになりました。彼女自身も、「相手は本心から褒めてくれているのか、それとも義務で言っているのか」分からなくなってしまった。試し行為によって得た安心は、本物の安心ではなかったわけです。

これらの体験談から見えてくるのは、試し行為が短期的な安心をもたらすことはあっても、長期的には関係を損なう可能性が高いということです。では、もしあなたが相手の試し行為に気づいたとき、あるいは自分自身がそうした行動を取ってしまっていると気づいたとき、どうすればいいのでしょうか。

まず大切なのは、境界と感情をシンプルに伝えることです。相手が試し行為をしていると感じたら、それによってあなたがどう感じているか、具体的に伝えましょう。「急に連絡が途絶えると、すごく不安になる」「約束を急にキャンセルされると、傷つく」といった具合に。

ここで重要なのは、責めるのではなく、事実と感情を述べることです。「あなたはいつも試してくる」と言ってしまうと、相手は防衛的になります。そうではなく、「こういうことがあったとき、私はこう感じる」という I メッセージで伝える。そして、それを一度だけでなく、必要に応じて繰り返し伝えることで、相手の無自覚な行動パターンに気づきを促すことができます。

次に、安定を示す行動を増やすことです。試し行為をする人の多くは、根底に不安を抱えています。だからこそ、あなたが一貫した反応を示し、予測可能な行動を取ることで、相手の不安は少しずつ和らいでいきます。

たとえば、毎日決まった時間に連絡を取り合う習慣を作る。約束したことは必ず守る。ポジティブなフィードバックを意識的に増やす。こういった小さな積み重ねが、相手に「この人は信頼できる」「この関係は安全だ」というメッセージを送り続けることになるんです。

また、小さな成功体験を積ませることも効果的です。「明日の夜、10時までには連絡するね」という小さな約束をして、それを確実に守る。そうすると相手は、「ああ、本当に連絡してくれた」という確認ができます。こうした小さな約束と実行の繰り返しが、「この人は期待に応えてくれる人だ」という学習につながるんですよね。

ただし、ここで忘れてはいけないのは、あなた自身の安全と幸福が最優先だということです。試し行為が繰り返され、あなたが疲弊してしまうようなら、距離を取ることも必要な選択です。改善の兆しが見えない場合、あるいは相手の行動がエスカレートしていく場合は、関係性そのものを見直す時期かもしれません。

場合によっては、カップルセラピーや個人の心理療法といった専門家の助けを借りることも、有効な選択肢です。試し行為の背景には、個人では扱いきれないほどの深いトラウマや複雑な心理的問題が潜んでいることもあります。専門家と一緒に、その根本原因に向き合うことで、関係は大きく改善する可能性があるんです。

さて、試し行為に向き合う上で、いくつか注意しておきたいことがあります。

まず、試し行為を発見したからといって、すぐに関係を断つ判断をするのは避けたほうがいいでしょう。確かに、試し行為は関係にとって健全ではありません。でも、その背景には過去のトラウマや誤解、あるいは単純なコミュニケーション不足が隠れていることも多いんです。対話を通して真意を探る価値は、十分にあります。

一方で、見過ごしてはいけないラインもあります。それは、繰り返される操作的な行為や、明らかに意図的に傷つけようとする行動です。こうした行為は、もはや単なる不安の表れではなく、感情的虐待の領域に入っている可能性があります。

たとえば、あなたの自尊心を傷つけるような言葉を繰り返し投げかける。他の異性と親密な様子を見せつけて嫉妬させる。あなたが大切にしているものを意図的に軽視する。こういった行動が続くなら、それは健全な関係ではありません。あなたには、そうした扱いを受け入れる義務はないんです。

そして何より大切なのは、あなた自身の精神的な安全を常に最優先にするということです。相手の不安に寄り添うことは大切です。でも、それはあなたが自分を犠牲にすることとは違います。相手の改善には時間がかかるかもしれません。でも、その過程であなたが消耗し尽くしてしまったら、関係を続ける意味はありません。

試し行為というのは、ある意味で人間の弱さの表れでもあります。愛されたい、認められたい、でもそれを素直に求めることができない。だから回りくどい方法で確認しようとする。その気持ち自体は、理解できるものかもしれません。